大会長からのごあいさつ
太田勝正 Katsumasa Ota
名古屋大学大学院医学系研究科教授
Professor, Graduate School of Nagoya University
この度、日本看護倫理学会第7回年次大会を名古屋で開催させて頂くことになりました。愛知県はもとより、東海地区、さらには北陸地域で初めての開催となります。
今日、患者の尊厳をいかに守るか、どの程度尊重されているかが医療・看護に問われています。ナイチンゲールの祖国イギリスにおいても、現在、この患者の尊厳について国を挙げての取り組みが行われております。第7回年次大会は、看護におけるもっとも重要な課題の一つである「患者の尊厳」について、看護実践、看護教育などに携わるさまざまな人々と知識、経験、意見などを共有したいと考え、「患者の尊厳を守る―臨床家とともに考える看護倫理」をメインテーマに開催致します。副題に示した「臨床家とともに考える看護倫理」とは、この大会が学会員のみならず、臨床現場で活躍する多くの看護臨床家の方々を交えて一緒に答えを模索していくものであることを示したものです。
基調講演には、国際ジャーナルのNursing Ethics編集長のAnn Gallagher先生をお呼びし、「The Role of Dignity in Nursing Ethics: What it means; How it has evolved; and Why it matters to Nurse Practitioners(看護倫理における尊厳の意味、その発展の経緯と看護実践に与える影響)」というご講演を頂きます。
また、ターミナルケアにおける倫理上のジレンマ、小児を取り巻く倫理的問題、臨床実践における倫理的取組、病院での倫理的実践の取り組みという、4つのテーマの教育講演、さらに、認知症ケアにおける看護倫理問題についてのシンポジウムを開催し、日頃、患者の尊厳について、また、看護倫理上の課題についてじっくりと考える、あるいは学ぶ時間のない方にも、これらを通じて「看護倫理の知」にたっぷりと触れて頂けるようにプログラムを組んでおります。
本大会は一般演題の口述発表・ポスター発表の他に、会員相互の情報交換・発信の場である交流集会も組み込んでおり、今回さらに、学生同士の情報交換として「学生情報交換会」、ならびに、非会員の方の情報交換の場として「東海看護倫理検討会」なども用意しております。見どころ満載、聞き応え満点の大会です。
会場となる名古屋は、「味噌かつ」「手羽先」「ひつまぶし」など、全国的に知られたご当地グルメの宝庫です。会場は、JR名古屋駅から約5分と近く(アクセスマップをご覧下さい)、宿泊施設も駅前をはじめ、地下鉄で5分の「栄」などに数多くあります。本大会で得られた成果が、臨床看護の現場や看護教育の場に「看護倫理の知」という波紋として広がり、ひいては看護の質と安全の向上に寄与できることを願っております(大会ポスターは、この「波紋」を背景にしています)。
皆様のお越しを関係者一同、心よりお待ち申しております。